不動産コラム
資産管理会社は作るべき?判断基準と活用方法をわかりやすく解説

「資産管理会社を作った方がいいですよ」と言われたことはありませんか?
不動産を複数所有している地主・家主の方や、賃貸経営を長く続けているオーナー様であれば、一度は
「資産管理会社を作ると節税になりますよ」という話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実際、インターネットや書籍でも「法人化による節税メリット」が多く紹介されています。
しかし当社がご相談を受ける中で感じるのは、
≪資産管理会社は“作れば得をする仕組み”ではなく、“活用できる人にとって有効な選択肢”である≫
ということです。実際に、資産管理会社を設立したことで資産承継や税務対策がスムーズになるケースもあれば、反対に維持管理の負担だけが増えてしまうケースもあります。
だからこそ大切なのは、「作るべきかどうか」ではなく、「自分に必要なのかどうか」を見極めることなのです。
資産管理会社は全員が作るべきものではない
先に結論をお伝えすると、不動産所得や保有資産の規模が一定以上あり、相続対策や資産承継を見据えている方には有効な選択肢になり得ます。
一方で、所有物件が少ない、不動産収入が大きくない、長期的な資産承継を考えていない、という場合には、必ずしも必要とは限りません。資産管理会社は節税だけを目的に考えるのではなく、「資産をどのように守り、引き継いでいくか」という視点で考えることが重要です。
資産管理会社とは何か?
資産管理会社とは、不動産などの資産を管理・運営するために設立する法人のことです。
具体的には、“個人所有の不動産を法人へ貸す” “法人が管理業務を行う” “新たな不動産を法人名義で取得する” といった活用方法があります。
地主様や不動産オーナー様の中には、“相続対策” “所得分散” “資産承継” を目的として設立されるケースが多く見られます。
なぜ資産管理会社が活用されるのか
当社がご相談を受ける中で、資産管理会社を検討される理由は大きく3つあります。
① 所得を分散できる可能性がある
個人で不動産収入が増えると、所得税率も高くなります。
そのため、“家族への役員報酬” “法人での利益計上” などを活用することで、所得を分散できる可能性があります。ただし、「誰でも大きな節税になる」わけではありません。所得水準や家族構成によって効果は大きく異なります。
② 相続対策として活用できる
地主様や家主様にとって、「財産をどう引き継ぐか」は非常に重要なテーマです。
不動産は分割しにくい資産です。そのため、“株式による承継” “持分調整” “管理権の集約” などの観点から資産管理会社が有効になるケースがあります。当社でも、相続を見据えたご相談では資産管理会社が選択肢の一つになることがあります。
③ 資産管理を仕組み化できる
賃貸経営が長くなるほど、“契約” “収支管理” “修繕判断” “承継準備” などが複雑になります。資産管理会社を活用することで、「個人の財産管理」から「法人としての経営管理」へ移行しやすくなります。これは単なる節税ではなく、資産経営を次世代に引き継ぐための準備とも言えます。
作らない方が良いケースもある
一方で、資産管理会社にはデメリットもあります。例えば、“法人設立費用” “税務申告費用” “社会保険の負担” “法人維持コスト” などが発生します。そのため、「節税になると思ったのに、思ったほど効果がなかった」というケースも珍しくありません。
特に、保有資産が少ない、所得規模が小さい場合には、メリットより負担が上回ることもあります。
当社が考える判断基準
当社では、「資産管理会社を作るべきですか?」というご質問に対して、いきなり設立をおすすめすることはありません。まず確認するのは、保有不動産の規模、将来の相続計画、家族構成、今後の投資方針といった全体像です。その上で、資産管理会社が目的達成の手段として本当に必要なのかを検討します。重要なのは会社を作ることではなく、将来の資産戦略に合っているかどうかだからです。
判断の精度を高めるために
資産管理会社の設立は、「節税できるか」だけで判断するものではありません。むしろ大切なのは、現在の資産状況、不動産の収益性、将来の相続対策、家族への承継方法 を整理することです。
その整理ができて初めて、「作るべきか」「今は必要ないのか」が見えてきます。
最後に
資産管理会社は、すべての地主様・家主様にとって万能な仕組みではありません。しかし、資産を守りたい、次世代へ円滑に引き継ぎたい、不動産経営を仕組み化したい と考える方にとっては、大きな選択肢になり得ます。当社では、節税ありきではなく、資産全体をどう活かしていくかという視点を大切にしています。まずは現在の資産状況や将来設計を整理し、資産管理会社が本当に必要なのかを考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。