不動産コラム
賃貸オーナーが今こそ行うべき「ペット共生物件」への舵切り

新築物件の建築費高騰や競合物件の増加により、空室リスクの低減や経営の安定化に頭を悩ませている賃貸オーナー様も多いのではないでしょうか。そうした中、他の物件との差別化を図り、退去の少ない安定経営を実現する一手として「ペット共生物件」がございます。
データで見るペット市場の衝撃:「子どもの数」を超える巨大需要
総務省の人口推計によると、国内の15歳未満の子どもの数は約1,300万人と減少の一途をたどっています。一方で、一般社団法人ペットフード協会の調査による犬猫の推計飼育頭数は合計で約1,500万〜1,600万頭に上ります。
すでに「子どもの数よりも犬猫の数のほうが多い」という逆転現象が定着しており、ペットは単なる愛玩動物ではなく、「家族の一員」として不可欠な存在となっています。
特に近年は、猫の飼育頭数(約884万頭)が犬(約682万頭)を大きく上回り、高い水準で定着しています。「毎日の散歩が不要」「鳴き声が比較的静か」「室内で留守番させやすい」など、単身世帯でも猫を飼育する方が増えております。
ここで賃貸経営において最も重要となるのが、「圧倒的な需給ギャップ」です。
世帯におけるペット飼育の安定した需要に対して、賃貸市場でペット飼育が許可されている物件は、以前に比べて増加してはいるものの、エリアにより差はありますが、概ね2割未満にとどまっています。
「子どもの数以上に膨らんでいるペット需要」に対して賃貸住宅の供給が追いついておらず、市場において希少性を持つことになります。
単なる「ペット可」と「ペット共生」の決定的な違い
オーナー様の中には、「ペットを許可すると部屋が傷む」「近隣トラブルが増える」といった懸念から躊躇される方も少なくありません。しかし、ここで推奨したいのは従来の「単に飼育を許可するだけのペット可物件」ではなく、「ペット共生型物件」へのシフトです。
- 従来の「ペット可」:
空室対策として消極的に飼育を解禁するケースが多く、設備や規約が不十分であり、管理側の知識も不足していることも多く、騒音や臭い、退去時の原状回復トラブルに発展しやすい。
- 「ペット共生」:
最初からペットと住むことを前提に設計・管理され、ペット飼育者に喜ばれる設備や内装を整え、「ペット飼育細則」などの明確な運用ルールを設けることで、住人同士の快適な暮らしが提供できます。
賃貸オーナーが得られる3大経営メリット
ペット共生型賃貸へ舵を切ることで、オーナー様には様々なメリットが生まれます。
①高稼働率
ペット共生物件は解約の発生率が低い傾向にあります。
市場全体の供給が圧倒的に不足しているため、入居者様にとって「別の賃貸へ引っ越す」ハードルは極めて高く、「せっかく見つけた快適な環境を手放したくない」「住み慣れた部屋からペットを動かしたくない」という心理が働きます。結果として、一般的な物件に比べて平均居住期間が長くなり、退去自体が発生しにくい環境が整います。
② 退去コストと空室期間の圧縮
賃貸経営において大きな支出となるのが、退去のたびに発生する「原状回復費用」や「次の入居者を募集するための広告料」です。
解約率が下がり長期入居が定着することで、一時的な手出し費用や募集コストの発生を抑えることにもつながります。さらに、退去が出た場合でも、ペット不可物件ではターゲットにならないペット飼育者もターゲットに加えることで募集の間口が広がり、空室期間の圧縮が期待できます。
③ 築年数や立地のハンデを吹き飛ばす「強い定着力」
「駅から少し距離がある」「築年数が経過してきた」といった物件は、通常であれば年数が経つごとに空室期間の長期化や賃料下落に繋がることがございます。
しかし、ペット共生型へシフトすることで、入居者様の選定基準が「駅徒歩や築年数」から「ペットと安心して暮らせるか」へと変わります。立地や築年数のハンデに左右されにくく、既存の入居者様が長く住み続けてくれる「解約されにくい強い物件」へと生まれ変わらせることができます。
成功させるための導入ポイント
ペット共生化を成功させるためには、ハード面とソフト面の両輪で対策を講じることが重要です。
- ハード面(設備):
傷や汚れに強い壁紙や滑りにくい床材などの内装材の使用や、ペットトイレスペースやくぐり戸、キャットウォーク、屋外の足洗い場などの設備導入など、飼育特性に応じた工夫が有効です。
- ソフト面(規約・管理):
「1戸あたり小型犬○頭または猫○匹まで」「共用部ではペットを抱きかかえること」といったペット飼育細則や、ワクチン接種証明書の提出などでペットに関するリスクを軽減できます。
弊社でのペット共生物件サポート
弊社では、ペット共生物件に力を入れており、前述の内容に加えて、ペット飼育前の「ペット審査」を行っています。ペットの種類、大きさ、飼育状況などを入居者様に回答いただき、それを踏まえてペットアドバイザーによるヒアリングやアドバイスを行います。これにより、オーナー様だけでなく、ペットを飼育しない入居者様に対しても、ペット審査を通過したペットが飼育されているという安心感につながります。
また、ペットアドバイザーに対して飼育中のペットに関するしつけや健康の相談が気軽にできることも入居者様に喜ばれております。
弊社では、単純な物件管理だけでなく、これらのサポートをグループ会社である株式会社ライフアシストと共に行うことで、弊社管理物件は高稼働率を維持しております。
建築費等の高騰によるコストアップが続く中、大規模なリノベーションやリニューアルに多大な費用を投じるのではなく、ソフト面(管理・運用)に着目することで、コストを抑えながら物件収支の改善を図ることができます。
まとめ
子どもの数を超えるほどペットが「家族」として大切にされる時代において、賃貸住宅におけるペット共生ニーズは一過性のブームではなく、長期的な構造変化です。
単なる貸し手目線ではなく「入居者とペットの暮らし」に寄り添った付加価値を提供することが、退去リスクを徹底的に抑え、長期にわたる高稼働・満室経営を実現する確実な鍵となります。既存物件のポテンシャルを引き出す戦略として、ぜひ「ペット共生物件」へのアップグレードをご検討ください。