不動産コラム
相続対策に不動産は有効?
地主・家主が知っておきたい相続税対策のメリットと注意点を解説

「相続税対策には不動産が有効と聞くが本当だろうか」
「築年数が経過したアパートを今後どう活用すべきか悩んでいる」
「子どもに不動産を引き継ぐ予定だが、何から始めればよいか分からない」
地主・家主の皆様から、このようなご相談をいただく機会が増えています。相続対策と聞くと、生前贈与や生命保険を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、不動産は古くから相続対策に活用されてきた代表的な資産の一つです。ただし、「不動産を持っていれば安心」というわけではありません。活用方法を誤ると、相続税負担だけでなく、空室問題や修繕費負担、相続人同士のトラブルにつながることもあります。これからの相続対策で重要なのは、税金だけを見るのではなく、「資産価値を維持しながら次世代へ引き継ぐ」視点を持つことです。今回は、地主・家主の方に向けて、不動産が相続対策に有効と言われる理由と注意点について解説します。
なぜ不動産は相続対策に有効なのか
相続税は、現金や預貯金だけでなく、不動産も含めた財産総額をもとに計算されます。一見すると、
「現金も不動産も同じ財産なのだから変わらないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、相続税評価額の考え方に大きな違いがあります。例えば現金1億円は、そのまま1億円として評価されます。一方で不動産の場合、実際の市場価格(時価)よりも低い評価額になるケースが多くあります。特に賃貸住宅や賃貸アパートが建っている土地は、貸家建付地評価、借地権割合、借家権割合などが考慮されるため、更地よりも評価額が下がる可能性があります。その結果、同じ資産価値でも相続税評価額を圧縮できるケースがあるのです。これが、不動産が相続対策として活用される大きな理由の一つです。
なお、令和8年度の税制改正で「貸付用不動産の評価」が見直されます。この改正により、相続開始前5年以内に新築・取得した貸付用不動産(賃貸マンションやアパートなど)は、従来の価格ではなく原則として時価で評価されることになります。(詳しくは税理士に確認が必要です)
地主・家主が得られる3つのメリット
① 相続税評価額を抑えられる可能性がある
不動産の最大のメリットは、相続税評価額を圧縮できる可能性がある点です。特に賃貸住宅を建築し運用している土地は、自宅敷地や更地と比較して評価額が下がることがあります。相続税対策を考えるうえで、評価額の違いは大きな影響を与えます。
② 家賃収入による安定した資産承継ができる
相続対策は単に税金を減らすだけではありません。相続後も資産が収益を生み続けるかどうかが重要です。賃貸住宅であれば、相続したお子様やご家族が家賃収入を受け取ることができます。現金を相続するだけでは将来的に減ってしまう可能性がありますが、収益不動産は継続的な収入源になる可能性があります。
③ インフレ対策としても有効
近年は物価上昇や建築費高騰が続いています。預貯金だけで資産を保有している場合、インフレによって実質的な資産価値が目減りする可能性があります。一方で不動産は実物資産であるため、長期的なインフレ局面では資産価値を維持しやすい特徴があります。
相続対策で失敗するケースとは
一方で、不動産を活用した相続対策には注意点もあります。空室の多い築古物件を放置している築年数が経過したアパートやマンションでは、空室率の上昇、家賃下落、修繕費の増加が起こることがあります。相続税評価額だけを意識していても、収益性が低下していれば将来的な資産価値も下がってしまいます。相続対策は「節税」ではなく、「資産を守ること」が本来の目的です。
相続人が管理できない
相続後に誰が管理するのか、修繕費をどうするのか、売却するのか保有するのかが決まっていないケースも少なくありません。相続人が不動産経営に関わった経験がない場合、物件が負担となってしまうこともあります。
分けにくい資産になる
現金と違い、不動産は簡単に分割できません。例えば、長男は不動産、次男は現金という形でバランスが取れなければ、相続トラブルにつながる可能性があります。そのため、早い段階から家族間で話し合いを進めることが重要です。
築古物件オーナーこそ出口戦略を考えるべき
築20年、30年を超えた賃貸住宅を所有されているオーナー様は、「相続まで保有するべきか」「売却するべきか」「建て替えるべきか」という判断が必要になります。
近年は、建築費高騰、修繕費増加、人口減少、相続税対策の多様化により、従来の相続対策が必ずしも正解とは限りません。そのため、保有継続、建て替え、組み換え、売却を含めた総合的な視点が重要です。
相続対策は「節税」ではなく「資産承継」
私たちは、相続対策を単なる税金対策とは考えていません。本当に重要なのは、相続税負担の軽減、資産価値の維持、安定した収益確保、円滑な資産承継を総合的に実現することです。
特に築古物件をお持ちのオーナー様の場合、「このまま所有するべきか」「次世代に引き継ぐべきか」「売却や組み換えも検討すべきか」を早い段階で整理することが大切です。
私たちパワーコンサルティングネットワークスでは、賃貸管理だけでなく、相続対策・資産組み換え・不動産売却なども含めた総合的なコンサルティングを行っています。相続は発生してからでは選択肢が限られます。
だからこそ、元気な今こそが相続対策を始める最適なタイミングです。 まずはご自身の資産状況を把握し、将来の承継プランを考えることから始めてみてはいかがでしょうか。