不動産コラム

2026/07/08 09:00
アパート経営
住宅設備
空室対策
賃貸管理
賃貸経営

「まだ使える」が命取り?エアコン・給湯器の寿命から逆算する、退去を未然に防ぐ交換タイミング

賃貸経営において、エアコンや給湯器といった「住宅設備」のトラブルは、入居者様の満足度を大きく左右する重要な要素です。

特に夏場のエアコン故障や、冬場の給湯器トラブルは、入居者様の生活に直結する死活問題になり得ます。「まだ動いているから大丈夫」と交換を後回しにしていると、突発的な故障による交換スピードを優先することで交換費用が高額になってしまうことや、入居者様の不満が爆発し、「退去」という手痛い二次被害を招く原因になりかねません。

それを防ぐためにも、設備トラブルが退去に直結する理由と、設備の寿命から逆算した「予防保全」が重要になります。

1.「まだ使える」に潜むリスクと退去への引き金

多くのオーナー様は、エアコンや給湯器が完全に壊れて、入居者様から「動かなくなった」と連絡が入ってから初めて交換を手配されるのではないでしょうか。

使えるうちは長く使いたいというお気持ちは大変よく分かります。しかし、現代の入居者様、特にタイパ(タイムパフォーマンス)や生活の快適性を重視する現役世代にとって、設備の故障は想像以上のストレスとなります。

特に以下のようなケースは、賃料減額や退去の引き金になる可能性があります。

・真夏にエアコンが故障し、数日間猛暑の部屋で過ごさざるを得なくなった
・冬にお風呂のお湯が出なくなり、毎日銭湯に通うことになった

昨今は資材不足や設備業者の人手不足もあり、お盆休みや年末年始、繁忙期などに故障が重なると、交換工事までに1週間〜10日以上かかってしまうケースも珍しくありません。

入居者様からすれば、「家賃を払っているのに普通の生活ができない」という強い不満が残り、お詫びの対応や一時的なホテル代・銭湯代の補償を巡ってトラブルに発展することもあります。そして、「この物件(管理)は信頼できない」と感じた入居者様は、次の更新を待たずに退去の準備を始めてしまうのです。

2. エアコン・給湯器の「本当の寿命」を知る

では、突発的な故障を防ぐためには、いつ交換を計画すべきなのでしょうか。その目安となるのが、各設備の「設計上の標準使用期間」と「部品の保有期間」です。

■ エアコンの交換目安:約10年

エアコンの設計上の標準使用期間は、一般的に10年と設定されています。10年を過ぎると、効きが悪くなるだけでなく、風が出ない、異音など故障リスクが高まります。

■ 給湯器の交換目安:約10年〜12年

給湯器も同様に、設計上の標準使用期間は10年です。また、メーカーが修理用部品を保有する期間も製造打ち切り後10年であることがあるため、10年を過ぎて故障した場合、そもそも「部品がないので修理ができず、丸ごと交換するしかない」という状況に陥ることもあります。

3. 退去を防ぐ!賢いオーナーが実践する「交換のタイミング」

突発的なトラブルと退去リスクを最小限に抑えるために、以下の2つのタイミングでの「予防保全(先手の交換)」を推奨しています。

①退去が発生したタイミング(空室時)に交換する

退去(解約)が発生した際、エアコンや給湯器が「まだ動いていた」としても、製造から10年を超えている場合には原状回復工事と合わせて新品へ交換してしまうのが賢い選択と言えます。

空室期間中であれば、入居者様にスケジュールを合わせる必要がなく、工事もスムーズです。さらに、募集図面に「エアコン新品交換済み!」と記載できるため、新しくお部屋を探す入居者様への強力なアピール材料(客付けの武器)にもなります。

②設備交換の繁忙期を避けて計画的に交換する

入居者様が居住中の場合でも、設置から10〜12年が経過している場合は、故障する前にオーナー様主導で交換を提案する価値があります。

その際は、エアコンの需要が爆発する「6月〜8月」や、給湯器のトラブルが多発する「12月〜2月」といった設備交換における繁忙期を避け、計画的に実施するのがポイントです。業者様の予定が確保しやすく、繁忙期の交換スピードを優先した際の費用よりも安く抑えられる場合もあります。

さらに、更新いただいた御礼に設備交換を行うことでも入居者様の印象アップに繋げることもできます。

入居者様にとって「壊れる前に最新の省エネモデルに替えてくれた」というオーナー様への感謝は、長期入居(更新率アップ)への強力な動機付けになります。

4. まとめ

賃貸経営における設備投資は、避けて通ることはできません。

しかし、壊れてから対応する場合、入居者様とのトラブル、緊急対応による割高な工事費、そして最悪の場合は「退去による数ヶ月分の家賃収入の損失」という非常に大きな代償を支払うリスクが付いて回ります。

「まだ使える」という誘惑を捨て、10年を一つの区切りとして計画的に先手を打つことこそが、結果として最もコストパフォーマンスが良く、満室経営を維持するための秘訣です。

株式会社パワーコンサルティングネットワークス
プロパティマネジメント事業部|資産価値を守り、育てる管理のプロフェッショナル

私たちプロパティマネジメント事業部は、賃貸管理・建物維持・収益改善など、不動産の運用・管理に関するあらゆる課題に対して、専門的な視点から「最適な管理戦略」を見極め、ご提案する部門です。