不動産コラム

2026/05/27 09:00
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老朽アパート・老朽貸家とは?

建物の寿命と賃貸経営への影響

アパートや貸家の建物構造には、主に「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3種類があり、それぞれに法定耐用年数(償却期間)が定められています。たとえば、木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年とされていますが、実際の寿命は設計・施工品質、使用部材、そしてメンテナンス状況によって大きく変わります。

特に、防水工事などの定期的な点検や修繕を怠ると、雨漏りなどのトラブルが発生し、構造に関係なく劣化が加速します。また、入居者の使い方や管理体制も建物の寿命に影響します。マナーの良い入居者が多い物件は設備が丁寧に扱われ、長持ちする傾向があります。一方、ゴミ置き場が荒れているなど管理が行き届いていない物件では、不良入居者が増え、劣化が進みやすくなります。これは※1「割れ窓理論」にも通じる現象です。

※1建物の窓ガラスが1枚割れているのを放置すると、「誰も気にしていない」と思われ、次々と他の窓も割られ、最終的には建物全体が荒れ果ててしまうという、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士と政治学者ジェームズ・Q・ウィルソンによって提唱された社会理論です。

さらに、建物が置かれている環境も耐用年数に影響します。風が強く吹き込む立地や交通量の多い道路沿いでは、外壁や設備の劣化が早く進みます。南側と北側の壁面でも、日照や湿気の影響により劣化速度に差が出ることがあります。

賃貸物件は自己所有の住宅と比べて、入居者の「愛着」が薄く、結果として建物の扱いが雑になりがちです。そのため、賃貸物件は一般的に劣化が早く、耐用年数も短くなる傾向があります。

老朽アパート・老朽貸家とは、誰が見ても「古く、劣化が進んだ残念な物件」を指します。こうした物件は、入居者の選択肢から外されやすく、空室リスクが高まります。一方で、定期的なメンテナンスや設備更新、リノベーションを行っている物件は、築年数が経過していても「老朽物件」とは見なされません。

納老朽化した賃貸住宅のリスクと民法717条の責任

老朽化が進んだ賃貸住宅は、見た目の印象や入居率の低下だけでなく、法的リスクも大きな問題となります。特に重要なのが、**民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)**です。
この条文では、建物の設置や保存に瑕疵(かし=欠陥)があり、それによって第三者に損害が生じた場合、まずは占有者(管理者や賃借人)が損害賠償責任を負うとされています。ただし、占有者が必要な注意を尽くしていた場合は、所有者(オーナー)が無過失でも責任を負うことになります 。

実際に起きた事故と判例

たとえば、老朽化した建物の外壁や看板、照明器具が落下し、通行人に怪我をさせた場合、オーナーや管理者は損害賠償責任を問われる可能性があります。阪神・淡路大震災では、耐震補強を怠った建物の倒壊により、多くの民事訴訟が発生し、所有者に高額な賠償命令が下された判例もあります。

老朽化による経営リスク

老朽化した物件は、見た目の印象が悪くなるだけでなく、以下のような経営上の悪循環に陥りやすくなります
・空室が増える
・賃料が下落する
・修繕費がかさむ
・収益が悪化する
・修繕がさらに遅れる
・入居者の不満が増え、退去が増加する
築10年を超えると、給排水設備や外壁、防水などの修繕項目が頻発し、「あちらを直せばこちらが壊れる」状態になりがちです。

予防と対策がカギ

このようなリスクを回避するためには、先手を打ったメンテナンスや、建物の価値を維持・向上させるリノベーションが不可欠です。定期点検や設備更新を怠らず、建物の安全性と魅力を保つことが、安定した賃貸経営と法的リスクの回避につながります。

相続税評価額にも不利な影響を及ぼす⁉

老朽化した賃貸住宅が長期間空室のまま放置されている場合、相続税評価額にも不利な影響を及ぼす可能性があります。以下にその理由をわかりやすくご説明します。

■ 相続税評価における「貸家建付地」の仕組み

相続税の計算において、賃貸物件が建っている土地は「貸家建付地」として評価され、**一定の減額(借地権割合や借家権割合による評価減)**が適用されます。これは、オーナーが自由に使えない土地であるため、評価額が下がる仕組みです。

■ 空室が続くと「貸家」として認められない可能性

しかし、老朽化が進み、空室が長期間続いている場合、税務署から「実質的に貸していない=貸家ではない」と判断されることがあります。そうなると、その土地は「貸家建付地」としての評価減が認められず、**更地に近い評価(高額評価)**となってしまうのです。

■ 老朽化物件の放置がもたらす二重の損失

1. 収益性の低下:空室による家賃収入の減少
2. 相続税評価の上昇:評価減が適用されず、相続税負担が増加
このように、老朽化した賃貸住宅を放置することは、収益面でも税務面でも大きなリスクとなります。

■ 対策のポイント

老朽化した賃貸物件の空室リスクや相続税評価の悪化を防ぐためには、定期的なメンテナンスやリノベーションによって稼働率を維持することが重要です。空室が長期化している場合は、建て替えや土地活用を含めた抜本的な見直しも検討すべきです。また、相続対策としては、早めに税理士や不動産の専門家に相談し、評価額や税負担を踏まえた適切な対応を講じることが、安定した資産運用と継承につながります。

株式会社パワーコンサルティングネットワークス
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