不動産コラム

2026/08/05 09:00
大規模修繕
賃貸経営

屋上防水の膨らみは危険?
見た目だけでは判断できない、防水劣化のサインと資産価値を守るための点検ポイント

「屋上の防水シートが少し膨らんでいる気がする」
「バルコニーの防水層が波打って見える」
「これって施工不良? それとも雨漏りの前兆?」

築年数が経過したアパートやマンションを所有されているオーナー様から、このようなご相談をいただくことがあります。防水層の膨らみや浮きのような症状を見ると、不安になるのは当然です。しかし実は、防水層の膨らみが見られるからといって、必ずしも防水性能の低下や漏水につながるとは限りません。防水材の種類や施工方法によっては、夏場の高温時に一時的に膨らんで見えることもあるためです。一方で、防水層の下に水分や空気が入り込み、本来の性能が低下しているケースもあります。

重要なのは、「膨らみ=危険」と判断するのではなく、その症状が正常な範囲なのか、劣化のサインなのかを見極めることです。

賃貸経営において屋上防水やバルコニー防水は、建物を雨水から守る重要な設備です。建物の寿命や資産価値にも大きく関わるため、正しい知識を持っておくことが大切です。

夏場の膨らみは必ずしも異常ではない

近年の夏は猛暑日が続き、屋上表面温度が60〜70℃を超えることもあります。こうした環境では、防水材そのものが熱によって大きく伸縮します。特に一部のシート防水材は伸縮性能が高く、気温や日射の影響によって表面が膨らんだように見えることがあります。これは製品特性として発生する現象であり、防水性能に問題がないケースも少なくありません。実際、防水材によっては高い耐候性能や伸縮性能を持つことが特徴となっており、施工不良とは無関係に見た目の変化が生じる場合があります。

そのため、

  • 夏場だけ膨らむ
  • 気温が下がると落ち着く
  • 雨漏りや破断がない

といった状態であれば、必ずしも異常とはいえません。一方で、見た目だけでは正常か異常か判断できないことも事実です。だからこそ、膨らみを発見した際には「すぐに工事が必要なのか」「経過観察で良いのか」を専門家に確認することが重要になります。

注意が必要な「防水層の浮き」とは

防水層の膨らみには、材料特性によるものだけでなく、防水層と下地の間に空気や水分が侵入して発生するケースもあります。この場合は、防水層と下地の密着性が失われている可能性があります。

特に、

  • 防水改修から10年以上経過している
  • 過去に雨漏り履歴がある
  • 防水層にひび割れや破断がある
  • 歩くとブカブカした感触がある

場合は注意が必要です。

こうした症状を放置すると、防水層の下へ雨水が侵入し、

  • コンクリートの劣化
  • 鉄筋の腐食
  • 天井からの漏水
  • 室内設備の損傷

などにつながる可能性があります。また、初期段階であれば部分補修で済んだものが、劣化の進行によって屋上全体の改修工事が必要になるケースもあります。

オーナー様が確認したいセルフチェックポイント

専門的な判断は難しくても、日頃から確認できるポイントがあります。

次のような症状があれば、防水点検を検討するタイミングかもしれません。

  • 防水層に大きな膨らみや盛り上がりがある
  • 歩くとフカフカした感触がある
  • 表面に亀裂や剥がれが見られる
  • 防水層が波打っている
  • 雨上がりに同じ場所へ水たまりができる
  • 天井や壁にシミが発生している

これらは必ずしも漏水を意味するわけではありませんが、建物からのサインである可能性があります。特に築15年以上経過している物件や、防水改修から長期間経過している物件では、一度専門家による確認をおすすめします。

「修繕」ではなく「予防保全」という考え方

私たちは、防水工事を単なる修繕工事とは考えていません。

賃貸経営において重要なのは、

  • 雨漏りを防ぐこと
  • 建物寿命を延ばすこと
  • 入居者満足度を維持すること
  • 資産価値を守ること

です。 そのため、「壊れてから直す」のではなく、「劣化を早期に発見して対応する」という予防保全の考え方が重要になります。防水層の膨らみも同様です。見た目だけで慌てて工事をする必要はありません。しかし、「様子を見れば大丈夫」と決めつけるのも危険です。大切なのは、「原因を正しく把握し、必要な対策を適切なタイミングで行うこと。」
それが結果として、大規模修繕費の抑制や安定した賃貸経営につながります。

パワーコンサルティングネットワークスの考え方

私たちは、「管理から経営へ」という視点を大切にしています。

防水層の膨らみや浮きについても、

  • すぐに工事が必要なのか
  • 定期点検で経過観察できるのか
  • 将来的な修繕計画に組み込むべきなのか

を見極めることが重要だと考えています。建物維持管理は、単に不具合を直すことではありません。

将来の修繕費を抑えながら資産価値を維持し、長期的に安定した賃貸経営を実現するための経営判断です。築年数の経過したアパートやマンションをお持ちのオーナー様、防水改修から長期間経過している物件を所有されているオーナー様は、この機会に建物の状態を見直してみてはいかがでしょうか。

株式会社パワーコンサルティングネットワークス
コンストラクションマネジメント事業部|建物再生をプロデュースする専門チーム

私たちコンストラクションマネジメント事業部は、老朽化した建物に新たな価値を吹き込む「再生プロジェクト」の企画・推進を担う専門部門です。